ノートについて
このノートを書く理由
私は盧恒だ。
LARUS LimitedのCEOであり、LARUS Foundationの創設者でもある。インターネットインフラ、IPアドレス市場、そして世界のインターネットガバナンスが交わる領域で仕事をしている。
この数年、私は地域インターネットレジストリ(RIR)の紛争、ポリシー策定、構造的な機能不全に直接関わってきた。その対象は、5つすべてのRIRに及ぶ。ここに書くのは、理論上の論評ではない。インターネットの中核資源が実際にどう統治され、どう管理を誤られ、どう値づけされ、どう支配されているのかを、当事者として見てきた経験に基づいている。
インターネットガバナンスやIPアドレスのポリシーになじみのない方には、『盧恒のノート入門』(英語)がわかりやすい出発点になる。専門家ではない一般の読者に向けて書いた案内だ。

このノートを書く理由
インターネットの最も重要な資産――IPアドレスと、それを統治する仕組み――は、根本から誤解されている。
その誤解は今や、経済的にも、法的にも、戦略的にも危険なものになった。
IPv4は、地球上のあらゆるクラウドサービス、通信ネットワーク、デジタル事業を支え、サービスの提供を可能にする、希少で代替の利かない資産だ。それなのに、時代遅れのポリシー、所有権を認めない姿勢、流動性の制限、実際の資産所有者ではなく小さな技術者集団に牛耳られたガバナンスによって、その価値は人為的に抑え込まれている。
これは抽象論ではない。世界中のインターネット接続事業者、クラウド事業者、インフラ企業の企業価値を、直接押し下げている。
同時に、これらの資産を管理する組織は、中央集権的な急所として機能している。説明責任は弱く、実効性のある切り替え先はなく、与えられた役割に比して過大な権力を持つ。
そこにシステム全体のリスクが生まれる。たったひとつのレジストリで、統治の失敗、政治的圧力、法制度を使った支配、あるいは資金難が起きるだけで、ネットワークや地域全体が脅かされる。レジストリの権威への恐怖につけ込むフィッシング攻撃は、この根深い構造的欠陥の症状である。
このノートは、問題を明確にし、組織を覆う神話を取り払い、根本原理から解決策を示すための試みだ。
- 番号資源に対する真の所有権
- 登録の移管を可能にすることの義務化
- 管理業務と強制執行の分離
- 強制的に徴収する料金の大幅な削減
- 最終的には、IPアドレス登録そのものの分散化
経済的な意味も、明快に説明したい。なぜIPv4は今、著しく過小評価されているのか。市場が機能することを許せば、その価値が数十兆に達することには、なぜ合理的な根拠があるのか。そしてそれが、インフラ業界にとってかつてない規模の、まだ実現していない富の移転の機会を意味するのはなぜか。
誰に向けて書くのか
変革それ自体を目的に混乱を求めているのではない。個人的な恨みを理論に仕立てているのでもない。
これは、経営者、取締役、規制当局、技術者、投資家、政策立案者、そして広く一般の人々に向けた、観察と議論と提案の記録だ。インターネットに依存しながら、その土台を問う機会の少ない人々に届けたい。
このノートに居心地の悪さを覚えるなら、それは意図したことだ。居心地のよさこそが、構造的な失敗を温存する。
ノートの読み方
各ノートは、この6つの問いのいずれかに答える。その先にあるのはひとつの姿だ。記録の信頼性は守られ、それを管理する組織はいつでも交代できる。
- まずは3本のノートから ひとつの問題、権限の根拠への問い、そして解決の提案。読む時間の目安は約40分。
- ひとつの問いをたどる すべてのノートは6つの問いのいずれかにつながっている。自分にとって切実な問いから読んでほしい。
- 番号順に読む 2025年12月のノート1から最新のノートまで。議論が書かれた順にたどる。
- 権力を握るのは誰か?代表権、権限、そしてコミュニティの名の下になされる主張。
- 価値を支配するのは誰か?IPアドレス、市場、そして所有することと許可を求めることの違い。
- インターネットはどうあるべきか?名前、番号、プロトコル、そして分散型の調整。
- レジストリが機能しなくなったら?登録の移管、運用の継続、そして離脱する権利。
- 思想をどう現実にするのか?議論を支える事業、組織、そして実践の中での選択。
- インターネットガバナンスの先へ現実、文明、時間、そしてより広い世界観。
世界を語る、その前に
同じ思想が、展示室の壁に並ぶ
写真展の11の壁にはこのノートからの言葉が、さらに3つの壁にはインタビューで語った盧恒自身の言葉が掲げられている。写真も議論も、同じ20年の歩みから生まれた。
私は高校時代に一人でオランダへ渡り、その後、大学に進みました。第1展示室 · 知っている世界を離れて道の途中でLu Heng
「ずいぶん若い頃に商売を始めました。ゲームカードを売ったり、人々に接続サービスを提供したりしていました。」第1展示室 · 知っている世界を離れて一つの席から見える世界Lu Heng
「インターネットは、誰の許可もなく機能する、世界規模の通信のための最初で唯一の道具だ。」第1展示室 · 知っている世界を離れて陸の縁をたどるノート 29
「多くの対立が続くのは、当事者がこの二つの層を混同するからだ。」第2展示室 · どこから見るか内と外ノート 20
「出発点は反対ではなかった。参加することから始まった。」第2展示室 · どこから見るかガラスを通してノート 43
「現実をでっち上げる必要はない。ただ、ありのままを描けばよい。」第2展示室 · どこから見るか名前より先に、形があるノート 36
「インターネットが機能するのは、誰の所有物でもないからだ。」第3展示室 · 私たちがつくった世界使われている街ノート 2
「パケットは、あなたが誰かを気にしない。」第4展示室 · ほかの命と出会うこちらを見る目ノート 31
「参加できるかどうかが、飛行機代や宿泊費を払えるかどうかで決まってはならない。」第4展示室 · ほかの命と出会うほかの命のいる場所ノート 11
「台帳が最も信頼できるのは、そこに記す世界を自分がつくったわけではないと覚えている人の手にあるときだ。」第5展示室 · 時間のものさし人がつくらなかった大地ノート 63
「どんな仕組みにも、現実に適応するか、自らをその場に凍りつかせようとするかを選ぶ時が、やがて訪れる。」第5展示室 · 時間のものさし山はそこに、天気は過ぎてノート 25
Note 27で盧恒は、遠い未来の問いを立てる。第5展示室 · 時間のものさし光がほどけるときノート 27
「私はただのインターネットおたくで、人類にとってよりよいと思うことを訴えているだけです。」第6展示室 · 暮らし、そのもの近くにある灯りLu Heng
第6展示室 · 暮らし、そのものすぐそばの水ノート 8