凪いだ海に残る最後の色
水平線は、空気のやわらかな重みの下で憩っている。薄く引き延ばされた光が、閉じゆく一日の裏側のように輝いている。

水平線は、空気のやわらかな重みの下で憩っている。薄く引き延ばされた光が、閉じゆく一日の裏側のように輝いている。海と空のあいだには、暖かさを帯びた縫い目が走る。はかなく、それでも途切れることなく。その下の島々は、ほとんど想像の産物のように見える。霞に抗い、かろうじて輪郭をとどめている。
それぞれの色調の面は、中央へ向かって深まっていく。空は上へと青に溶け、水面は暗さを増しながら静かなリズムを刻む。両者の釣り合いは精妙で、あまりに均衡がとれているため、作為を感じさせない。どこも視線を引きつけようとはせず、すべてが静けさへと誘っている。
この写真が見つめるのは、見えているものではなく、消えはじめるものだ。光がどのように空気となり、距離がどのようにやわらかさへ変わるのか。薄れゆくという営みを、続いていくための芸術へと変えている。ここでは世界はもはや変化していない。休み方を思い出している。