遠くに灯台を望む、穏やかな海景
凪いだ海の向こうに、遠く灯台が立つ。ひとりでいること、空間の広がり、そして静けさを感じさせる一枚。

美しく撮られた一枚だ。海と空がにじみ合い、輪郭のない、果てしないひとつの青となる朝。その静謐な美しさが伝わってくる。水平線には、凪いだ海から細長い陸地がわずかに顔を出し、その先端に灯台がひとつ立っている。何もない空間にこぼれた、白いため息のようだ。画面のすべてが浮かんでいるように見える。まるで時が、進むことを忘れたかのように。
静けさが聞こえてきそうだ。波立たない海は、その上に広がる柔らかな空を映し、そよ風は肌をすっと潤すような、ほのかな潮の香りを含んでいる。光が水面を優しく包み、液体のガラスへと変えてゆく。水面を揺らすのは、ごく小さな波紋だけ。この写真から感じられるのは、かすかな風。人の声はなく、ただ遠さと静寂がある。
これは単にある場所を写した写真ではない。ひとりでいることの安らぎ、広大な空間が奏でる詩情という、感覚を写した一枚だ。眠りについた世界の中で、灯台は不変と孤立の比喩となっている。写真がたたえる静かなひとときは、安らぎとは静止そのものではなく、静止と呼吸の間にある均衡なのだと語りかける。