論考16:RIPE NCCをかたるフィッシングメール――恐怖、権威、そしてレジストリの本来の役割

なぜ偽のメールひとつが企業を脅かしうるのか。それはレジストリの何を物語るのか?

開いた台帳のそばにある青い封筒が、列柱のある建物の形をした大きな影を落としている概念図。

偽のメッセージは、組織に向けられた恐怖を利用できる。本稿は、なぜ記録を管理する者がネットワーク全体を支配する権力と見なされるのかを問う。

最近、多くのRIPE NCC会員に、「ダウンロードの確認」という件名で、48時間以内に情報を確認するよう要求するメールが届いた。このメールの送信元はRIPE NCCではなかった。恐怖を利用したフィッシング詐欺だったのである。具体的には、RIPE NCCにあると受け取られている権限への恐怖を利用していた。

この事件は、より深い構造的な問題を露呈させている。

RIPE NCCは、登録データベースを維持する民間の会員制組織だ。それなのに多くの会員は、無意識のうちに、主権的な権力を持ち、一夜にして自分たちの事業全体を停止させられる規制当局のように扱っている。詐欺師が利用したのは、まさにその恐怖だった。そして、その恐怖が存在する理由は一つしかない。現在の地域インターネットレジストリ(RIR)のポリシーの下では、会員は自らの事業が依存するIPアドレスを真には所有していないからだ。

レジストリが理論上、サービス契約を解除し、登録を変更できるのであれば、それは存続に関わるリスクとして受け止められる。国の通信を担う事業者や、数百万人にサービスを提供するISPが、外国法の下で活動する民間企業の裁量に構造的に依存していてはならない。重要インフラの土台として、それは健全な状態ではない。

本当の解決策は、ポリシーの改革だ。番号資源の所有権を認めなければならない。会員が自らのIPアドレスを本当に所有していれば、本物であれ偽物であれ、一通のメールが事業の存続を脅かすことはできない。依存がなくなった瞬間に、恐怖も消える。RIRは、コミュニティが主導するボトムアップの組織だ。コミュニティが所有権を求めるなら、参加し、投票し、ポリシーを変えることで実現できる。

同時に、会員は現在の現実も理解すべきだ。RIPE NCCは政府ではない。インターネットの警察でもない。会員と契約関係にある民間組織である。もし不合理な行動を取り、契約を解除して不釣り合いに大きな損害を与えれば、法的責任を負うことになる。裁判所は、まさにそうした濫用を防ぐために存在する。そして歴史が示すとおり、レジストリ自身も、権限を逸脱すれば、差止命令、資産凍結、支払不能と無縁ではいられない。

実際には、RIPE NCCの手続きは所定の手順に沿った、合理的なものだ。例えば、登録情報の点検支援であるAssisted Registry Checksは、データの正確性を維持するために行われるが、会員との協力を前提とし、会員の都合に合わせて日程が組まれ、敵対的な手続きではないことも明示されている。正規のRIPEの手続きで、脅しをかけながら48時間以内の対応を要求するものはない。そのようなメッセージを受け取ったら、直ちに疑うべきだ。

この事件は、私たちの見方を改めるきっかけとなる。レジストリは台帳の記録係である。RIPEの創設者の一人の言葉を借りれば、その存在理由は、台帳を正確に保つことにある。それ以上ではない。ネットワークに命令したり、行動を取り締まったり、主権的な権力を行使したりする存在ではない。

長期的な解決策は、共同で行動することだ。ポリシー策定の過程に参加し、IPアドレスの真の所有権を求め、そもそもこうしたフィッシング攻撃を有効にしている構造的な恐怖を取り除く。IPアドレスの所有権が明確になれば、この種の脅威は丸ごと消える。

それまでは、レジストリからの連絡も、他の取引先からの連絡と同じように扱えばよい。冷静に、契約に基づいて、恐れることなく。