論考15:IPv4に眠る価値を解き放つ
IPv4のルールを決める場に、その所有者たちがいないのはなぜか?

レジストリのルールに影響を受ける企業は、そのルールづくりにも参加できる。Lu Hengは、企業のリーダーたちに参加を呼びかける。
IPv4は、インターネット上のサービスを成立させる最も重要な基盤だ。端末もクラウドサーバーも、IPv4アドレスなしにはオンラインになれない。それなのにIPv4には、取るに足らないもののような価格が付いている。1アドレス当たり月額約0.30ドルで、サーバー1台につき月額約300ドルのサービスを可能にしている。自らが可能にする価値の約0.1%にすぎない。他の市場では、不可欠な基盤は、それが可能にする売上の相応の割合を取り込んでいる。都心の店舗の家賃が売上の約30%になることが多いのは、立地が商売を成立させる基盤だからだ。同じ論理に従えば、IPv4が到達しうる評価額の上限は、現在よりもはるかに高い。
評価額が抑え込まれている現状でも、多くの通信事業者では、IPv4の価値が時価総額の大きな割合を占めている。保有するIPv4の推定価値が、企業全体の時価総額に迫る、あるいは肩を並べる場合さえある。価格が少し上がるだけでも、インフラ事業者の企業評価は大きく変わる。問題は経済性ではない。ガバナンスなのだ。
IPv4が過小評価されているのは、その市場が本来の市場として機能することを構造的に妨げられているからだ。地域インターネットレジストリ(RIR)のポリシーは、流動性と価格形成を押しつぶす三つのことをしている。真の所有権を認めず、自由な再販売を妨げる保有義務期間を課し、資金を投じることが決まった後でさえ、買い手に「資格」があるかどうかを官僚的な組織が判断する「必要性審査」を実施している。これらの制約によって、希少で価値ある資産が、五つの小さな民間組織の管理下に置かれた、許可に縛られる賃借の仕組みへと変えられている。現行ルールの下で、これらの組織は、大規模ネットワーク、さらには一国全体の接続性さえも機能不全に陥れかねない形で登録を変更できる。これは安全性のリスクであると同時に、評価額を抑える要因でもある。
なぜこうしたポリシーが存続しているのか。実際に意思決定を担う人々、すなわちCEO、取締役会、株主の大半が、RIRのガバナンスに参加していないからだ。参加は技術職の社員に委ねられることが多いが、彼らには企業価値や資産に対する権利を最大化する動機づけがない。その結果、影響を受ける資産や企業の所有者ではなく、小さな「クラブ」の内輪の力学によってポリシーが形づくられている。
これを正す仕組みはすでに存在する。RIRは会員制組織だ。IPv4の所有者であるISP、クラウド事業者、通信事業者こそが有権者なのである。解決策は、実際に企業を率いる人々がポリシー策定の場に入り、人為的な移転制限を撤廃し、必要性審査を廃止し、所有権を認め、IPv4を実質的な流動性のある通常の取引可能な資産として扱うことだ。流動性が解放されれば、希少性が正当に価格へ反映されるようになり、インフラ産業は、自らがすでに可能にしている価値のはるかに大きな部分を取り込める。
核心はここにある。IPv4の評価額を抑えることは、ISP業界とクラウド業界全体の企業価値を一斉に抑えることなのだ。業界は、その抑制を受け入れることもできる。あるいは、それを生んだルールを自ら決める力を取り戻すこともできる。